ガラス探検隊

ガラスの寺子屋第7回報告


今回は一般の方でもご存知な美術館「サントリー美術館」の学芸員土田ルリ子さんの講義でした。
サントリー美術館は1961年に開館、2007年には赤坂から六本木ミッドタウンに移転、2011年には開館50周年も迎えました。

親会社がサントリーというお酒のメーカなだけに酒器のコレクションが多く、ガラスのコレクションにも積極的で、所蔵品が多いので年に1回はガラスの展覧会を開催していますね。

学芸員として、展覧会の企画段階の段取りから展示の工夫に至るまでを細部に至るまでお話しいただきました。

学芸員というと、学者肌の気難しい人達が美術品の分析を踏まえて堅苦しく企画していくのかと思っておりましたが、土田さんの場合は「こうなったらいいな~こんな展覧会にしたいな~♪」という「ドリームリスト」を作り、そこから企画書を作るそうです。
なんだか夢見る乙女みたいに楽しそう。

そして、外部から所蔵品をお借りするのもアポを取って必ずお願いに上がるのだそうです。
昨今、簡単にメールで済ますことの多い世の中ですが、フェイスtoフェイスのコミュニケーションが大切で「最後は人だなと思います。」とのこと。

合ってお話しているうちに、まだどこにも貸し出していないもっと企画に合っている所蔵品を出していただける事もあるのだそうです。

土田さんは展示にも手を抜きません。
展示のガラスケースのガラスのつなぎ目と、中の展示台のつなぎ目と、キャプションがかかれたカードの線が重なってうっとうしくないように配置し、微調整に次ぐ微調整を大切にするというお話。

見る立場からそんな事気にしていなかったけど(それだけ気を使われていたので今まで気にならなかったというべきか?)今度サントリー美術館に行ったらそこのところも気にして見てみます。

おおよそ展覧会の企画は2年前に立てて準備しますが、開催1か月前は体力もいるし、神経も使う、ほったらかしてやめたくなることもあるのだけれど、忍耐力を捨てないように頑張るそうで、そうしているうちに展示段階になると1つ1つの作品に愛情を感じるようになってきて、「この子の一番いい所を見せよう」と、展示の角度もじっくり検討して並べ、親ばかモードになるそうです。

土田さんのモットーは、「愛と、情熱と、愉快。」だそうで、作品への愛とこの仕事を情熱持ってやりたいが、情熱的すぎるとうっとおしいので愉快を忘れないようにするのだそうです。
このお仕事がお好きで楽しんでいらっしゃるご様子が伝わってきました。

展示は年代をおって展示しますが、必ず現代へつなげるように考えていて、しかしながら変にストーリに当てはめず見る人にゆだね、自由に見てもらえるように、押しつけがましくならないようにしていますので、「押しつけがましかったら言ってください、以後気をつけます。」と。
ちょうど土田さんが企画した「Drinking Glass 酒器のある情景」が11月10日まで開催中です。

こちらの展示では現代日本人ガラス作家6名の作品が並んでいます。

現代作家の方たちへのアドバイスとしては、「制作に迷いが出てきたとき、古い歴史的な器とか見てみると自分の作品が違って見えてくる。外を見ないとガチガチになりますから。」と、またまた今までの寺小屋講師の方々と同じ、いろいろ見ることをおすすめされました。

Drinking Glass 酒器のある情景」の会場、入り口入った所にウェルカムボードがあり、展覧会が終わるとこれ等の物は捨てるのだそうですが、今回の出来があまりにも良いので、捨てたくないのでどうしようか考え中とか。
私はまだ見に行っていませんのでこれから、展示作品以外にも見どころ満載の展覧会だわ。

次回第8回は11月30日(土)銀座並木通りの人気日本料理店「六雁」初代料理長 榎園豊治さん
お申込みお問い合わせは井上典子さんブログから⇒http://inoten.exblog.jp/