ガラス探検隊

行ってきました「木村硝子店の手仕事展」

先日の台風の日、行ってきました木村硝子店の展覧会。
風が強く雨も降り始めていましたがそんなにひどくなっていない時間帯でしたので行き帰りは大したことない濡れ方ですみました。
新作のグラスたちがステキなレイアウトで並んでおりました。
薄口のグラスがお得意の木村硝子店ですが、今回の新作は厚口のグラスとの事。
がしかし、さすがのデザイン力!唇が当たる部分は繊細に薄~くカットされておりました。


そしてレセプションパーティではこのようなグラスが布の巾着袋に入ったものが手渡され、
呑み終わった後は各々持ち帰って良いお土産に。
立食なので置かなくて良いデザイン、飲み干すまで置けないグラスです。
粋な木村社長のはからいですね♡
木村硝子店のグラスはバーやレストラン向けで一般の私達には手に入りませんが、この展覧会では1個から購入可能です。
展覧会は24日まで是非お運びください。

木村硝子店の手仕事展
2013年10月11日(金)-24日(火)
11:00-19:00(月曜定休/初日13:00から・最終日16:00まで)
ギャラリーMITATE
東京都港区西麻布3-16-28ル・ベイン1F
TEL.03-3479-3842
http://www.mitate.com

広沢葉子さん個展

箔使いが美しい作品を作られている広沢葉子さんが個展です。
お茶道具や器、照明器具も出品されるそうです。
吹きガラスに一手間も二手間もかけた作品で、色彩はそこはかとなく和を感じる色合いですね。

広沢葉子ガラス展
2013年10月17日(木)-23日(水)
10:00-20:00(最終日16:00)
池袋東武6F工芸サロン
〒171-8512東京都豊島区西池袋1-1-25
TEL.03-3981-2211
http://www.tobu-dept.jp

ガラスの寺子屋第7回報告


今回は一般の方でもご存知な美術館「サントリー美術館」の学芸員土田ルリ子さんの講義でした。
サントリー美術館は1961年に開館、2007年には赤坂から六本木ミッドタウンに移転、2011年には開館50周年も迎えました。

親会社がサントリーというお酒のメーカなだけに酒器のコレクションが多く、ガラスのコレクションにも積極的で、所蔵品が多いので年に1回はガラスの展覧会を開催していますね。

学芸員として、展覧会の企画段階の段取りから展示の工夫に至るまでを細部に至るまでお話しいただきました。

学芸員というと、学者肌の気難しい人達が美術品の分析を踏まえて堅苦しく企画していくのかと思っておりましたが、土田さんの場合は「こうなったらいいな~こんな展覧会にしたいな~♪」という「ドリームリスト」を作り、そこから企画書を作るそうです。
なんだか夢見る乙女みたいに楽しそう。

そして、外部から所蔵品をお借りするのもアポを取って必ずお願いに上がるのだそうです。
昨今、簡単にメールで済ますことの多い世の中ですが、フェイスtoフェイスのコミュニケーションが大切で「最後は人だなと思います。」とのこと。

合ってお話しているうちに、まだどこにも貸し出していないもっと企画に合っている所蔵品を出していただける事もあるのだそうです。

土田さんは展示にも手を抜きません。
展示のガラスケースのガラスのつなぎ目と、中の展示台のつなぎ目と、キャプションがかかれたカードの線が重なってうっとうしくないように配置し、微調整に次ぐ微調整を大切にするというお話。

見る立場からそんな事気にしていなかったけど(それだけ気を使われていたので今まで気にならなかったというべきか?)今度サントリー美術館に行ったらそこのところも気にして見てみます。

おおよそ展覧会の企画は2年前に立てて準備しますが、開催1か月前は体力もいるし、神経も使う、ほったらかしてやめたくなることもあるのだけれど、忍耐力を捨てないように頑張るそうで、そうしているうちに展示段階になると1つ1つの作品に愛情を感じるようになってきて、「この子の一番いい所を見せよう」と、展示の角度もじっくり検討して並べ、親ばかモードになるそうです。

土田さんのモットーは、「愛と、情熱と、愉快。」だそうで、作品への愛とこの仕事を情熱持ってやりたいが、情熱的すぎるとうっとおしいので愉快を忘れないようにするのだそうです。
このお仕事がお好きで楽しんでいらっしゃるご様子が伝わってきました。

展示は年代をおって展示しますが、必ず現代へつなげるように考えていて、しかしながら変にストーリに当てはめず見る人にゆだね、自由に見てもらえるように、押しつけがましくならないようにしていますので、「押しつけがましかったら言ってください、以後気をつけます。」と。
ちょうど土田さんが企画した「Drinking Glass 酒器のある情景」が11月10日まで開催中です。

こちらの展示では現代日本人ガラス作家6名の作品が並んでいます。

現代作家の方たちへのアドバイスとしては、「制作に迷いが出てきたとき、古い歴史的な器とか見てみると自分の作品が違って見えてくる。外を見ないとガチガチになりますから。」と、またまた今までの寺小屋講師の方々と同じ、いろいろ見ることをおすすめされました。

Drinking Glass 酒器のある情景」の会場、入り口入った所にウェルカムボードがあり、展覧会が終わるとこれ等の物は捨てるのだそうですが、今回の出来があまりにも良いので、捨てたくないのでどうしようか考え中とか。
私はまだ見に行っていませんのでこれから、展示作品以外にも見どころ満載の展覧会だわ。

次回第8回は11月30日(土)銀座並木通りの人気日本料理店「六雁」初代料理長 榎園豊治さん
お申込みお問い合わせは井上典子さんブログから⇒http://inoten.exblog.jp/

神代良明さん個展

発泡ガラスの神代良明さんが個展です。
何やら哲学的な一文がDMハガキに書かれています。
「ただただこれまでのように、では覚束ない意識の存在。
そこにあてがうべきモノサシを日々探して置いてみる。」
と…
神代さんの思いを見に行ってみましょう。

神代良明 硝子展
2013年10月20日(日)-26日(土)
11:00-19:00(最終日17:00)
銀座煉瓦画廊
〒104-0061東京都中央区銀座4-13-18医療ビル2階
TEL.03-3542-8626
http://ginzarengagarou.com

木村硝子店が展覧会

バーや飲食店で出てきて皆さんも見かけたことがあると思います、木村硝子店のグラス。
薄手のグラスで口当たりが良く、お酒がおいしくなるグラスたちです。
しかし、この秋の新作は厚手のオールドグラス5種だそうです。
木村硝子店の厚手のグラス楽しみですね。
木村硝子店社長の木村武史さんにご講義頂いた「ガラスの寺子屋」報告はガラス探検隊でレポートをUPしています。⇒http://marblepocket.com/blog/index.php?/archives/725-unknown.html

木村硝子店の手仕事展
2013年10月11日(金)-24日火)
11:00-19:00(月曜定休/初日13:00から・最終日16:00まで)
ギャラリーMITATE
東京都港区西麻布3-16-28ル・ベイン1F
TEL.03-3479-3842
http://www.mitate.com

加倉井秀昭さん個展

工房設立準備で大忙しの中、加倉井さんが個展です。
そしてこの確かな技術力、素晴らしいですね。
DM写真の器、空気の粒が規則的にガラスの中に閉じ込められています。
これって緻密な計算の元、しっかりした準備しないとできない技です。
是非現物を見にいらしてください。
加倉井さんブログはこちら⇒http://ameblo.jp/bakainu1970/

加倉井秀昭 硝子展覧会
2013年10月10日(木)-15日(火)
11:00-19:00(最終日17:00)
gallery坂
〒162-0818東京都新宿区築地町2
TEL.03-3269-8330
http://www.gallery-saka.com

角岡磨さん個展

吹きガラスの角岡さんが個展です。
使える器ばかりを作って来たので「実用品」から離れて好きに制作してみるという企画だそうです。
たしかに…DMの写真のポットじゃお茶が入れられませんね。
でもなんだか楽しいカタチに出会えそうな展覧会です。

角岡磨 ガラス展
2013年10月9日(水)-10月15日(火)
11:00-19:00(最終日17:00)
グラスホッパーギャラリー

〒152-0001東京都目黒区中央町2-6-1ノア学芸大学1F
TEL.03-5724-7098
http://www009.upp.so-net.ne.jp/grass-hopper/

ガラスと金属の展覧会

ガラス作家の安達寿英さんと金属作家の伊志良杏子さんの2人展です。
これはカワイイもの好きにはたまらないかもしれません。
DMハガキの反対側にはスプーンや箸置きかな?と、チーズドームでしょうか?
とにかくカワイイテーブルウエアの写真が載っています。

ガラスと金属 二人展
2013年9月28日(土)-10月5日(土)
11:00-19:00(最終日17:00)
グラスホッパーギャラリー
〒152-0001東京都目黒区中央町2-6-1ノア学芸大学1F
TEL.03-5724-7098
http://www009.upp.so-net.ne.jp/grass-hopper/

堀越順子さん万華鏡展に出品

万華鏡作家の堀越順子さんが出展する展覧会です。
堀越さんはグラスアートクラス出身で、鋳造ガラスで万華鏡を制作しています。
昨日から開催ですが、堀越さんは23日まで会場にいらっしゃるそうです。
万華鏡、のぞいているとはまりますよね…
ワークショップもある催事のようですので要チェックです。

万華鏡展-光の幻想-
2013年9月19日(木)-29日(日)
10:00-19:30
Bunkamura Gallery
〒150-8507東京都渋谷区道玄坂2-24-1(東急本店横)
TEL.03-3477-9174
http://www.bunkamura.co.jp

ガラスの寺子屋第6回報告


台風で大変だった3連休の最終日、ガラスの寺子屋第6回が開催されました。

雨上がりの午後、会場で椅子など準備していると「トントンっ」と扉をノックする音が…
扉を開けて見るとそこには今回の講師、江波冨士子さんが深々と頭を下げて「本日はよろしくお願いいたします。」と立っておられました。

宜しくお願いするのはこちらなのですが、何と丁寧な方~という第一印象。

今回はガラス作家としてしっかり活動されている方からお話を聞こうという事で、私も大ファンの江波冨士子さんでした。
そして、プロジェクターとスクリーン持参してくださり作品のスライドを見ながらの講義でした。

(このスライド8か月もかかって作ってくださったそうです。)

高校生の頃に出会った陶芸家の先生との出会いから、ガラスへと素材を変えるきっかけ、独立して工房設立し、現在に至るまでをお話しいただきました。
江波さん高校生の頃、陶芸の先生に弟子入りを考えていたところ、先生から美大への選択もある事を進められ、多摩美術大学へ。

多摩美在籍中にバーティル・バリーンの作品に衝撃を受けガラスへと素材を変えていきます。

その後、富山ガラス造形研究所へ、卒業後就職した会社がすぐにつぶれてしまったので思い切ってアメリカへ渡り、チャダムグラスカンパニーに入り修行するという、折に触れ刺激を受けるたび、かなり自分の気持ちに正直に歩む道を選択されて来たようです。

スライドでは道を歩んでいく節々で影響された言葉だけのスライドもたくさん登場する構成。
それは本の中からも、直接言われたことも含めで、私もハッとさせられる言葉ばかりでした。

今の江波さんのスッキリシンプルなフォルムに影響を与えたのはこの寺子屋主催の井上さんの「かたちよ、かたち」という言葉だったようです。

この誰かに言われたり、本の中から影響を受けた言葉をちゃんと受け止めて自分の中で咀嚼し、実際の作品に反映していったことで、江波さんの作品は進化し、展覧会出品のお声がかかったり、懐石料理の菊の井からの器の注文を受けたりと活動が活発になっていきます。

この菊の井の器、「胡麻豆腐用」との注文に答えるのにも、菊の井主人から胡麻豆腐の大きさと余白の空間のお話を聞き、サンプルを10点作ったそうです。
(料理と器の空間の話は、ガラスの寺子屋第1回でも出ましたね)

この時制作したのはムリーニの技法、プレゼンで決まった器を170個制作したため、腕がかなり上がったそうです。

ちなみにこの時、色について井上さんに相談したら「胡麻豆腐ならきなりよ!」の一言に素直に従ってすんなり仕事が決まったそうです。

人の意見を尊重して作品に活かす、大事です。

そしてそれがまたまたサントリー美術館出品へとつながって行きました。
2011年に開催された「あこがれのヴェネチアン・グラス時を超え、海を越えて」は見に行った後、私もこのブログでこの展覧会を紹介しています。

ヴェネチアングラスも良かったんですけど、ヴェネチアングラスに影響を受けた現代作家コーナーの江波さんの作品「雨のち虹」に感動したからです。
http://marblepocket.com/blog/index.php?/archives/449-unknown.html

江波さんの制作はスケッチする事から始まり、パーツを何ピース作るのか計算し、材料の準備をしてなるべく無駄の無いようにしているそうです。
それは工房から出るゴミや使うエネルギーのことも考えているからです。

彼女の使っているムリーニというモザイク技法、大雑把な性格では出来ないな~と思っていたら、やっぱり丁寧で緻密な性格の方でした。

質問コーナーでも一人一人に納得するまで丁寧に答えていただき素晴らしかったです。

そして、たくさんあった影響を与えた言葉の締めくくり、ガラスをやってこられたのはパートナーの小西潮さんの「ガラスを吹いて、世界に行こう」でした。
小西さんとはアメリカ修行時代のチャダムグラスカンパニーの兄弟子妹弟子の関係だったという事。

私の見解では小西さんが早くに江波さんの才能に気が付いてサポートしている感じ…

人とのつながりを大切にし、頂いた言葉を作品に活かし、丁寧な仕事が次への活動を広げる。
ガラスで食べていくための姿勢を学びました。

次回ガラスの寺子屋は10月14日(月)体育の日、講師はサントリー美術館学芸員土田ルリ子さん
お申込みお問い合わせは井上典子さんブログから⇒http://inoten.exblog.jp/18521075/